ドイツの写真家MARIE STAGGATが6年の歳月を費やして完成させた、デトロイトのエレクトロニック・ミュージックにフォーカスした出版物としてかつてない濃度と深度を誇る全320ページの豪華本「313ONELOVE - A Love Affair With Electronic Music From Detroit -」が入荷しました。
DJ ALFREDOがレジデントを勤めていた”Ammnesia”をはじめ、”Pacha”、”Ku”といった伝説化しているベニューで行われたパーティーは、UKを中心に大きなムーブメントとなった”セカンド・サマー・オヴ・ラヴ”へも多大な影響を与えました。(”セカンド・サマー・オヴ・ラヴ”にて中心的だったUKのDJ達の多くは、イビザで体験したALFREDOの影響を語っています)
当時のALFREDOのプレイリストは、RHYTHIM IS RHYTHIM 、JAMES BROWN、BOB MARLEY & THE WAILERS、PINK FLOYD、SADE、LOU REED、MANUEL GOTTSCHING、GILBERTO GIL、NINA SIMONE、JUNGLE BROTHERS、LIAISONS DANGEREUSESと、ジャンルと時代を超えた自由な選曲でした。USシーンに例えると、LARRY LEVANの”Paradise Garage”、DAVID MANCUSOの”Loft”、FRANKIE KNUCKLESの”Warehouse”と同趣といえると思います。
そんな、ジャンルレスでボーダレスだった「バレアリック・ミュージック」のイメージが大きく変わったのが90年代の中盤。当時、「バレアリック・ミュージック」の象徴的なシリーズとして世界的な大ヒットとなっていた、コンピレーション”Cafe Del Mar”の影響もあってか、「バレアリック=サンセットでチルアウトするムード・ミュージック」というイメージに変化していったように思えます。
2016.11.2 (wed) at Underground Gallery Music Bar. <https://goo.gl/ImJxQ0>
start 20:00〜 /charge 1st Drink ¥1,000
selector : ISH,Yukke and Keisuke Tamura(funatoto)
1999年にリリースされたCARL CRAIGによるジャズ・プロジェクトINNERZONE ORCHESTRAによるTHE STYLISTICのカヴァー・シングル「People Make The world Go around」のVo.を務めたことで脚光を浴び、その後も、AMP FIDDLER、JAZZANOVA、OCTAVE ONE、AS ONEといった、世界中のプロデューサー達の作品に、歌、またはベースプレイヤーとして参加してきた、デトロイト指折りのプロデューサー。
今回の12インチは、来年にリリースが予定されているアルバム『IN THE COMPANY OF OTHERS』からの先行限定シングルで、盟友DJ DEZ aka ANDRES、そしてFURRY PHREAKS、LOVE FROM SAN FRANCISCO、PRESENCEなど多岐に渡る名義を使って90年代から傑作を多数リリースしてきたヴェテランハウス・プロデューサーCHARLES WEBSTERがリミックスにて華を添えています。
JEFF MILLSが、近年、力を注いでいる、オールドS.Fムービーと音楽の融合"シネミックス"の最新作「The Trip」のジャパンプレミア公演、今回は、昨年行われ、世界的にも大きな話題を集めた「高野山1200年の光」のプロデュースを行った大阪の映像集団”COSMIC LAB”とコラボレーションによる、約1時間半に及ぶ映像体験作品です。
MATTHEW HERBERTといえば、ディスコ・ファンク・ソウル・ジャズなど、過去の作品から引用しアップデートさせる事が主流だったサンプリング・コラージュのシーンにて、自分の身近で聞こえる生活音を採取しパーツの一部として使用する手法を確立させた、パイオニアの一人。2000年には自身が決めたマニフェストPMCM(Personal Manifesto for the Composition of Music)にて、他者の作品からのサンプリング、アコースティック楽器サウンドの模写しないことを宣言する等、厳格な基準を自ら作り、そのサウンドを進化させてきました。
シカゴ・ハウス / デトロイト・テクノをスタートと基準したダンスミュージックの周期が完全に一周し、新たなアップデートを模索している2016年、90年代のHERBERTの作品が再評価され、初期の名作群が次々と再発され始めてました。今回再発されたのは『Part One』(95年)収録の「See You On Monday」と『Part Two』(96年)収録の「Deeper」の2作品。
やはり、まずはこの曲から。未だにオリジナルがどの曲なのか諸説あることでも有名な「Video Crash」から引用されたお馴染みのフレーズに、コミカルなアシッドを絡めた彼の代表作。ちなみに僕がこの曲を知ったのは、94年に当時UNDERWORLDのメンバーだったDARREN EMERSONがBBCのラジオプログラム”Essential Mix”に出演した際のプレイ聴いた時でした。(youtubeにあるので、興味ある方はチェックしてみてください。)
MIKE DUNN - Magic Feet
BAM BAM主宰の[Westbrock]から87年にリリースされた事実上のデビュー作。本人によるスキャットと808のみで構成された、シンプルなトラックですが、今聴いてもゾクゾクする輝きを放っている傑作だと思います。
Mike Dunn - Dance You Mutha (Original Mutha)
ここからは、MD III名義の作品です。[D.J. International]のサブレーベルから88年に発表された「Face The Nation」に収録されていた曲で、TYREEのVo.と303の絡みが絶妙です。
MD III - Personal Problem
これは、2014年にUKの[Moreaboutmusic]([Paranoid London]というカルト的な人気のアシッド系サブレーベルを持つことでも知られます)からリリースされた、88-91年の間に制作れたという未発表作品。とにかくミニマルです。
MD III - Acid Feet
これは少し異質なのですが、94年に[Trax]から2枚組にてリリースされた「Da Track Dummies」に収録されていた曲で、アフターアワーズで聴きたいドラマチックなメロディーとシンプルなサックス・サンプルが印象的なメロウハウス。ウワ音はメロウですがリズムはタフなので熱くなれます。余談ですがこの2枚組は、この曲以外は…な内容です(笑)
MIKE DUNN Pres. THE TRACK DUMMIES - Late Night Sex
まずは、アルバムのハイライトであり、唯一、片面をフルに使って収録された10分超えの長編トラック「Black Sunday」から。トラックはミニマルでヒプノティック、コラージュされたゴスペルが徐々に熱を帯びていく、ある意味、神事や祭事同様のトランス感が表現された、真の意味でソウルフルなブラックハウスです。他では聴いたことがない、唯一無二の作品だと思います。
MOODYMANN - Black Sunday
次は「Joy Pt III」。この曲は、MOODYMANNの代表作でもある3部作「Joy」のパート3にあたる曲で(パート1はKDJ 5、パート2はKDJ12)、KDJを始めデトロイト・ハウス作品は欠かせなかったヴォーカリスト兼サックスプレイヤーNorma Jean Bellが全面に参加した、美しく情緒豊かなデトロイトハウスの金字塔と呼べる作品です。
MOODYMANN - Joy Pt III
最後に紹介するのは、アルバムのタイトル曲でもあり、MOODYMANNを象徴する一曲といっても過言ではない「Mahogany Brown」。KDJ18番として12インチ・リリースされた「Black Mahogani」のエディットともいえる楽曲で、Walter Murphy「Afternoon of a Faun」をテンポアップし、中盤のエレピ・フレーズを繋ぎ直した、ジャズ・ファンク・ハウスの名作です。今でもフロアで聴くことが多い作品でもあります。
Moodymann - Mahogany Brown
ミニマル界隈でのブーム云々以前に、世界中には根強い支持者が存在しているエレクトロですが、どうも日本では人気が出ないところでもあります。音源も持っているけれど、UGではオナジミのDrexciyaや、片割れの故James StinsonのプロジェクトThe Other People Place、ニュー・アルバムも待たれるConvextion (E.R.P.)あたりで止まっている方も多いのでは?と思います。
UGでも好評頂いたE.R.P.の近作(現在リプレス中)「Ancient Light (Hubble Telescope Series Vol. II)」をリリースしていた、[Solar One Music]のオーナーThe Exalticsのポッドキャストは、ディープなエレクトロの世界への入り口としても最適な内容なので、ぜひここをキッカケに、色々なレーベル、アーティストの作品もチェックしてみてください。
ちなみに[Solar One Music]からは、デトロイトの重鎮Heinrich MuellerとThe ExalticsのプロジェクトProject STS-31のリリースも間もなく到着予定です。お楽しみに。
ライブ・パフォーマンスでのインパクトも圧倒的にハードウェアの方が面白く「機械」をプログラミングするというよりも「楽器」を演奏するという感覚に近いのかもしれません。
“FACTmagazine”の人気企画で、10分間で楽曲を制作する『Against The Clock』のムービーでも、ハードウエアを使用したものが目立ちますね。 http://www.factmag.com/tag/against-the-clock/
来日プレイも話題となったBINHやNICOLAS LUTZ、ANDREW JAMES GUSTAV、GWENANといったハード・ディガー達のプレイによって、かつて日本では100円のエサ箱に埋もれていたようなマイナー・テクノやエレクトロが、気付けばあっという間にプレミア化している2016年。新譜そっちのけで旧譜ばかりを掘ったり、改めて自分のレコード棚に眠っている90'sテクノのB面をひたすらに聴き返したりしている方も多いかと思いますが、彼らディガーのプレイがキッカケで再発が実現した名盤や、当時のアーティストの復帰作ももちろん、20代の若き次世代が活発にリリースしている各種新譜のチェックもお忘れなく!20年後に皆が血眼で探すであろうフューチャー・クラシックは、今まさにリリースされている訳ですから。