2016/10/19

MIKE DUNN PRESENTS MDIII / 88-90 Proto Acid Ep

クラシックと呼べる数多くの名作を生み出してきた、オリジナル・シカゴ・レジェンドMIKE DUNN、DJ PIERREと同じシカゴのゲットー地区イングルウッド出身のリアル・バッドボーイ。


シカゴのFM局”WBMX”の伝説のプログラム”Hot Mix 5”で様々な音楽を学び、RON HARDYの”Music Box”、FRANKIE KNUCKLESの”PowerPlant”での鮮烈なクラブ体験の洗礼を受け、18歳でDJを始めたという、80年代中盤から後半にデビューしたシカゴのプロデューサーなら誰もが通る「羨ましい体験」をリアルタイムで経験した正真正銘のレジェンド。

DJ PIERRE、ADONIS、STEVE POINDEXTER、ARMANDO、FARLEY JACKMASTER FUNK、TYREE、BAM BAM、LIL LOUISなど、同世代のオリジナル・アシッド・ハウス・プロデューサー達の中で、MIKE DUNNの作品は群を抜いて洗練されていました。

ある意味、てきとうに打ち込んだリズムと、プリセットのシークエンス音源を使用した作品すら大ヒットしていた時代、彼の作品は、計算してプログラムされたリズムとシークエンスから生み出されるミニマリズム溢れる(黒い)グルーヴと、ミックスの技術もあったのか、音(ヌケ)の良さも、当時の他の作品の比べると圧倒的に良いのもが多かったです。現在でもヨーロッパを中心に大きな影響を与えており、特にテクノ・ミニマル・シーンへの影響は図りきれないです。

そんなMIKE DUNNの楽曲をいくつか紹介したいと思います。

やはり、まずはこの曲から。未だにオリジナルがどの曲なのか諸説あることでも有名な「Video Crash」から引用されたお馴染みのフレーズに、コミカルなアシッドを絡めた彼の代表作。ちなみに僕がこの曲を知ったのは、94年に当時UNDERWORLDのメンバーだったDARREN EMERSONがBBCのラジオプログラム”Essential Mix”に出演した際のプレイ聴いた時でした。(youtubeにあるので、興味ある方はチェックしてみてください。)
MIKE DUNN - Magic Feet



BAM BAM主宰の[Westbrock]から87年にリリースされた事実上のデビュー作。本人によるスキャットと808のみで構成された、シンプルなトラックですが、今聴いてもゾクゾクする輝きを放っている傑作だと思います。
Mike Dunn - Dance You Mutha (Original Mutha)



ここからは、MD III名義の作品です。[D.J. International]のサブレーベルから88年に発表された「Face The Nation」に収録されていた曲で、TYREEのVo.と303の絡みが絶妙です。
MD III - Personal Problem



これは、2014年にUKの[Moreaboutmusic]([Paranoid London]というカルト的な人気のアシッド系サブレーベルを持つことでも知られます)からリリースされた、88-91年の間に制作れたという未発表作品。とにかくミニマルです。
MD III - Acid Feet



これは少し異質なのですが、94年に[Trax]から2枚組にてリリースされた「Da Track Dummies」に収録されていた曲で、アフターアワーズで聴きたいドラマチックなメロディーとシンプルなサックス・サンプルが印象的なメロウハウス。ウワ音はメロウですがリズムはタフなので熱くなれます。余談ですがこの2枚組は、この曲以外は…な内容です(笑)
MIKE DUNN Pres. THE TRACK DUMMIES - Late Night Sex



長々と書いてきましたが、そんな重要人物MIKE DUNNの未発表音源が、ロッテルダムの良心[Clone]からリリースされることになりました。シカゴのアーティストの未発表音源なんて、近年、流出しまくっているので、「またか…」とお思いの方も多いと思いますが、このお方の未発表曲だけは、無視しないでください。音を聴けば、紛れもないMIKE DUNN節で、痺れますよ!11月初旬のリリース予定です。

MIKE DUNN PRESENTS MDIII / 88-90 Proto Acid Ep
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